佐山雅弘のブログ

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2016年2月16日
#6いつか聴いた歌

https://www.youtube.com/watch?v=GxQL_17owuA&feature=youtu.be
 パルコ劇場にいる。和田誠さんと初めてあった場所。週刊文春の表紙を書き始めて5周年記念のコンサートだった(はず)。
 和田誠という名前を初めて知ったので、その後大阪に行った時、梅田の紀伊国屋書店で何か彼に因んだ本でも買おうとしたら、山ほどの装釘と著作があったので驚いた。当時のバンマス、荒川康夫さんにそのことを話して笑われた。
 文春が50周年、和田さんの表紙も35年とか40年だから随分経っている。にもかかわらず今でもお会いするたびに伺うお話は新鮮で面白い。
 オードリーの”マイフェアレデイ”もデボラ・カーの”王様と私"も歌の吹き替えはマニー・ニクソン。アンドリュースの”サウンドオブミュージック”はさすがに吹き替えが必要なく、尼さん役で出ている。修道院の院長以下がマリアをたしなめる歌の中で、マリアを弁護するパートを歌っている人。
 とかね。こういうエピソード、こぼれ話はテーマの統一された書籍には載りにくいだろうから、飲み会での四方山話に貴重なエッセンスが溢れ出るのだ。
 ”日劇物語”も”僕の読書日記”も、最近刊行された”僕が映画ファンだったころ”などいくらでも面白い著作はあるのだが、初期の傑作はなんと言っても”いつか聴いた歌”。この本に収められた100曲をたどることでどれほどスタンダードへの理解が深まったことか。
 ということでそのタイトルチューン”I've Heard That Song Before”
 僕の書き下ろしの”恋と音楽”も劇場を離れてライブハウスでの演奏のネタになったりしたら素敵だろうな。
 和田さんはCDのプロデュースもいっぱいされている。オムニバスアルバムの”いつか聴いた歌”シリーズはぼくのヘビーローテーション。その中での本曲の演奏はスインギーなフルバンドにバンドボーカルがつく。ボーカルが主体ではなく、バンド演奏のおしまいにサービスのように歌がワンコーラス入って、その後バンドによるエンディングとなる。好きですねぇこのスタイル。コンボでも成立するはずなのだがなかなかこのスタイルは見当たらない。今度やってみよう。

 

2016年1月18日
#4 T,T,C & T #5 EMI

T,T,C&T
https://www.youtube.com/watch?v=ySqwbByrZLY&feature=youtu.be
我が師匠、本田竹広の名曲です。
ブラックフィーリングにあふれたファンキーな曲想の中にも、どこかしらジャパニーズな匂いがあって、大好きなナンバー。習っていたのは二十歳前後。同門の津垣博道が可愛がられてました。彼はその頃からナイスガイ。熱い心とファンキーなキャラで10人ほどいた本田教室一期生のなかでも輝いていたなぁ。その後、松岡直也さんに多大な影響と教えを受けて、いまやラテンの大ベテラン。僕はいまだに教わる所大であります。

EMI
http://youtu.be/JPvbqM0S3vc
古澤良治朗、畢生の名作。古澤さんについては以前詳しく書きました。

 1月は本田さんのなくなった月。その翌年か翌々年に後を追うように古澤さんが逝ってしまったのです。
 二人は同年、でも古澤さんが一年浪人しているので、大学では後輩でした。そのこともあって、最後まで古澤さんは本田さんの事をさん付けで呼び、音楽的にも大尊敬していました。本田さんはもともとそういう事に無頓着。かといって改めさせるでもなく、ごく自然に付き合っていた。
 野獣で博愛で。バンカラでいながら品があって。そんな人間のありようが可能なのですね。素敵な人たちでした。絶滅種です。
 この二曲とも、家族に向けて書かれた曲です。そして二人ともなくなる時は一人きりでした。バンドの道を全うした、と言えなくもないけれど、やはり寂しい気はしますね。

2016年1月5日
#3Good By

https://youtu.be/FsVueub2GM0
 日本JAZZ曲人気投票をしたら間違いなく上位に入る板橋文夫の名曲です。
 日本人の作品が他の日本人に演奏される事が存外少ない気がする。いい曲はいっぱいあるのです。勿論、時間的・空間的な必然からいって割合は低くなるけれど。作曲者自身も匠まずして(むしろ本人は日本人離れを目指していたりする)醤油味がにじみ出ていて、受け取り側も意識下でそこに感応しているのだろう。
 これはアドリブ演奏面で、より顕著なように思う。
 マーラーやブラームスでも日本の指揮者の方が、間というか音楽の輪郭にシンパシィを感じる事が多い。指揮にそういうことが出るものだろうか。
 安易な同族意識や素朴さを超えたナショナリズムは戒むべき、それ以上にそれ以上に唾棄すべきものだが、同族間に相似の”心の奥の共感”が、異民族間で起こるならば、差別・区別意識の無意味さに気づくよすがになるだろう。子供ができる可能性があるオスとメスは同じ種である。人類と名の付く我々はすべて同種生物なんである。

 近況:ミュージカル”恋と音楽”の稽古が始まった。年末も押し迫ってから届いた台本に今日の稽古開始に間に合わせるべく曲書きしていた年末年始だった。


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